1週間も待たずにまたトレオン市へとんぼ返り。
何もないと言われがちな北メキシコの中でも
どちらかといえば地味な部類のコアウイラ州の
どの町からも車で3、4時間かかるトレオンは
何かと言えば田舎町だと侮られがちだけれど
よく観察してみるととても大事なメキシコの
北の文化の交流点だということがわかる。
前回は芸術の話だったので、
今回は得意な食について。
地理的に北東部のヌエボレオン州と
北西部のチワワ州の丁度中間に位置するこの町は
北部の肉食文化を軸にしながらも
街中で山の民俗タラウマラの人々を見かけたり、
食でもチワワの山岳地帯からの
乳製品の文化が流れ込んでいる。
それに加えて独自に発達したのが小麦文化。
北の乾燥地帯は全体的にトウモロコシ粉と
小麦粉との二刀流の文化圏だけれども、
トレオンはその中でも突出して小麦寄り。
行ったら必ず食べろと言われる食事にも
小麦は絶対に欠かせない。
今日はそのうち3種をご紹介。
・厚焼きタコス:ゴルディタ Gordita
分厚く焼いたトルティジャ生地を開き 中におかずを詰めたこの料理。
要領はピタパンと同じ。
他の土地での主流はしっとりトウモロコシ皮でも
この町では小麦の皮のパリパリ食感。
ゴルディタデコセドールGordita de Cocedor
と呼ばれる炭火焼のものが中でも大変美味しい。
リンクはモンテレイのゴルディータの一例。
・腸料理: トリピータス Tripitas
たっぷりの油で揚げたもちもちの腸の料理も
大々的ではないながら多くの地元民に
根強く支持される地元の美味。
近隣在住の私は食文化が似ているので
ほとんど違いがわからないけれど、
他の地域ではあまりない食べ方なのだとか。
牛だか豚がか食道なのかなんなのか
誰も良くわかっていないけれど気にしない。
一度下茹でしたものをサラダ油、
あるいはより旨味を出すためにラードと塩で
グツグツと煮るように揚げただけのものを
小麦のタコスで挟んで食べるのが絶品。
自宅で揚げる際にはかなり油が爆発するので
深めの鍋に軽くフタをしての調理をおすすめ。
でないと私のように台所中油塗れに。
爆竹くらいの音と勢いで爆ぜる中
うかつに火を消しにも近づけない調理は恐怖。
軽くあげればふわふわもちもち、
よくあげればかりかりもっちり。
写真は目を離したすきにカリカリになったもの。
これだけでもビールの最高のつまみになるし、
トマトで煮ても美味しい天からの贈り物。
・パイ皮: カンペチャーナ Campechana
モンテレイのお店でも売っているのだけれど
トレオンへの道すがら国道で手売っている時だけ
美味しそうに見えてしまう不思議なお菓子。
20~25枚程度で30ペソ。
見て分かる通りただ甘いぱりぱりのパイの皮。
なので美味しくないはずがない。
街に居ると華美なものを選びがちだけれど
引き算の美味しさも病みつきになる。
カンペチャーナ以外にも
道路で話しかけてくる物売りの人ってしつこいし
もの乞いかと思い身構えてしまうことあるけれど、
果物やお菓子は店舗よりも美味しいものが
結構隠れていることもあるので
時たま運試しに買ってみたくなってしまう。
小麦の話は明日に続く。