メキシコ モンテレイで食べて遊んで働いて

メキシコって良くも悪くもこういうところ。メキシコを好きになれる観光、レシピ、文化情報を発信。

【レシピ付き】一番好きなスペイン料理 アンダルシア風MIGAS DE PAN

我が家の料理のレパートリーの軸は

日本の家庭料理とメキシコ料理。

それから旅先で美味しかったレシピを

お土産がわりに覚えて帰ることにしているので、

季節によって世界各地の郷土料理も出てくる。

 

その中でも留学をしていたスペインの料理は

まあまあ出てくる頻度も多い方。

パエリアだったりオムレツだったり

派手な料理も作るのだけれど、

今日紹介したいのは一年位に一回しか作らないけれど

私の一番好きなスペイン料理

 

MIGAS DE PAN ミガス デ パン

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MIGAS ミガス

とはスペイン語パン屑のこと。

パンはそのまま日本語にもなっているパン。

(そもそもパン自体がお隣のポルトガル語由来だし)

でもこれだと「パンのパンクズ」って

「頭痛が痛い」のような二重表現じゃないの、

と思うけれど、これは地域によって使う素材が違うから。

例えばメキシコではトルティージャの端切れで作るのだけれど

それはまた別の機会にでも。

 

そもそも何でそんな名前がついたのかというと、

日本よりもずっと乾燥しているスペインでは

きちんと袋にでも入れて保存をしていないと

結構簡単に一晩でパンが硬くなってしまう。

硬いと言っても湿気大国日本でよくある

パサパサになっちゃったなんてものじゃなく、

バナナで釘が打てるを彷彿させるような

カッチカチのパンを私も今まで何本か量産してきた。

そんなそのままでは到底食べられないパンを

砕いて調理して大変美味しくリメイクしてしまうのが

この見た目はじみーな、でもとびきり美味しい一皿。

 

作り方は至って簡単で

材料を切ってゆっくりじっくり炒めるだけ。

私のスペイン南部はアンダルシア風の

友達のご両親直伝のレシピはこんな感じ。

 

厚切りのブロックベーコン、スペインのチョリソーなど

豚の油の旨味がぎっしり詰まった加工肉を分厚く切って

揚げ油に美味しさを溶かしながら

丁寧にゆっくりと調理をしていると

この後の美味しさが想像できて垂涎もの。

強い火力も難しい切り方もひっくり返したりもないので

料理が得意でない人でも作れちゃうのもいいところ。

大人数分作るときは本当に時間がかかるので、

子供たちが交代で鍋をかき混ぜるのも

何だかパーティーの日のワクワク感があっていい。

 

美味しさの秘密である肉のうまみの移った油を

しっかりと吸収したパンは口に入れた途端に美味しさ爆発。

ゆっくり炒めることで外はカリカリ、

中はもっちりとした口当たりも楽しいし、

じっくり揚げたニンニクも美味しくないわけがない。

出汁が美味しいってこういうことだよなぁ、と

どこを掬って食べても至福のひととき。

どうしても油っこいので量は食べられないけれど、

美味しいものを少し食べて満足できる

そんな点もとても素敵に感じる。

 

 

パンはできればそのまま美味しく食べたいし

しょっちゅう食べるにはカロリーが高いし。

でもこの美味しさを一度経験してしまうと

年に一回ふと硬くなってしまったパンを手にした時には

ガッカリする代わりに、今年もチャンスが回ってきた!

と思えてしまう、年に一回くらいの特別な味。

まさにピンチが大チャンス。

待ちに待っていたピンチの到来。

 

どうしようも出来なそうな余った食材が

先人の知恵の前ではこんなに美味しい料理になってしまう。

料理ってほんと化学。

この世にはたくさんの自然環境と

それと共存してきた生き物の生態と、

それを生かしてきた文化があることに感謝して、

今日もごちそうさまでした!