メキシコ モンテレイで食べて遊んで働いて

メキシコって良くも悪くもこういうところ。メキシコを好きになれる観光、レシピ、文化情報を発信。

ティファナ旅行記2019冬⑤小さな美味しい港町、エンセナダ。

間欠泉を後にまた1時間ほどバスに揺られれば

17時頃にようやくエンセナダの町に帰着。

市内観光もしようと思っていたのだけれど

すでに日も暮れかかっていたので

まずは宿にチェックインをし夕食探し。

 

観光のメインでもある海から大通りを一本隔てた

中央通りのCalle Primera、一番通りへ。

おみやげ屋さんや食事処が一通り集結していても

ギラギラした装飾や道まで漏れ流れる音楽もなく

小さな町らしくひっそりと落ち着いて素敵。

同じくワインの産地だからか穏やかな雰囲気が

テキサス州ダラスの北西にあり白ワインが美味しい

ワインの村グレープバイン市に訪れた時に感じた

目抜通りの柔らかな活気に似ている。

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それにしても18時頃に訪れたにも関わらず

見渡す限りちっとも人がいない。

そもそも半分くらいのお店は閉まっているし

空いているカフェやレストランもどこもガラガラ。

【El Guerrerenseエルゲレレンセ】

という世界で一番美味しい屋台料理だと名高い

海鮮タコスの屋台に寄ってみたかったのだけれど

ここも17時までの営業だったので叶わず。

タクシーの運転手さんに聞いてみたら

どうやら商売っ気の少ないこの町では

飲み屋さんは別として日暮れ頃には店仕舞い、

食事処でも20時21時閉店が珍しくないみたい。

大都市の24時間営業に慣れてしまうと

人間の生活時間帯をうっかり忘れてしまう。

 

というわけで通りを一通り歩きまわり

多くはない開店中の候補の中から迷った挙句

クラムチャウダーに惹かれイタリアンへ。

【Gondolieri】というテラスのあるお店。

https://goo.gl/maps/dsPMgus2aagrguHc8

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ここまでの経験上、バハカリフォルでは半島は

全般的に貝類が美味しいとの結論を得ていた私。

ここまでも生牡蠣に焼き大アサリを堪能したので

折角なら煮込んだアサリを食べておきたいと

トマトベースのペスカトーレ

クラムチャウダーを注文。

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全体的にちょこっと塩辛くてちょこっと脂っこい。

けれどゴロゴロと大きなエビは肉厚でじわりと甘く、

入れすぎなほどアサリのつまったチャウダー

貝の旨味がぎっしり。こんなに贅沢なのは初めて。

ワインはイタリア産で地のものではかったのが

唯一残念ではあったけれど、全体的には満足。

サッカーの決勝戦が行われていた夜だったので

時々店内まで隣の店の歓声が届いていたけれど

車通りもなくとても穏やかに食事ができました。

普段騒音と人ごみにもまれて生きている分

こういう一時がとても嬉しい。

 

ここから店の並びを北に進んでいくにつれて

飲み屋や風俗店が目に入るいわゆる歓楽街に突入。

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聞こえる音楽や目に入る人の纏う空気が変わり

怖さはないけれどちょっと怪しい雰囲気も。 

カクテルのマルガリータを発明した店が

この辺りにあるとか、本当は他のホテルだとか

諸説聞いてはいたけれど

そちらには特に興味を惹かれなかったので

踵を返し腹ごなしには港の周りを散策してみる。

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真っ黒な海に少し淀んだ磯の香り。

海の反対側にいるのに伊豆と同じ匂いがする。

彼氏は生まれて初めて見る港だったそうで

巨大コンテナ船を双眼鏡で見て大よろこび。

ここにもエンセナダサインと巨大な国旗が。

観光地のお決まりね。

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船をもっとよく見たいとのことだったので

一夜明けて翌日は早朝からまた海沿いを散歩。

暗い時間には気づかなかったオブジェや

折れて沈没したままの桟橋、

港にはお決まりの聖人像を発見。

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8時頃だったので海での仕事を終え陸に戻った

漁師さんがもう一仕事を片付けている

その話し声やモーター音が素敵。

やっぱりここでも貝がたくさん上がってる。

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観光客の入れる一番突き当たりまで進むと

突如堂々とMercado Negroメルカドネグロ

つまり闇市と書かれた怪しい建物を発見。

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その開けっぴろげな感じにえ、と思いながらも

ドキドキしながらこっそりと覗いてみれば

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この通路の見慣れた濡れ具合といえば・・・

なんだ、魚市場じゃないの。

 

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短い軒の下に10店舗ほどがみっしりと並び

いかにも新鮮な海産物を今まさに陳列中。

大小さまざまな見覚えのない魚たちは

どれも皮の下の綺麗な身が想像できて

よだれが出るほどの美しさ。

調理してみたくてたまらない。

 

悔しいことに丸2日旅行が残っているので

お土産は保存のきくマグロの燻製1kgのみ購入。

写真上部の真っ赤な塊がそれ。

マリネ液と豊潤な薫製の香りにも負けない

マグロの赤身独特の酸味が残っていて美味。

たしか70ペソ(420円)くらい。

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しかし市場で生物を味わえないのももどかしいな

と思っていたらいつの間にか鎮座している牡蠣様。

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今食べるから開けてと頼むも刃物がないらしく、

かといって宿泊中のホテルにもないし

そもそも自分で開けられる自信がない。

しかしなんの執念かいつもの人見知りを打ち捨て

向かいの食堂のおじちゃんにお願いをすれば

開けてあげるよと気前のいい二つ返事で快諾。

晴れて陸に上がりたての牡蠣を購入。

3つで25ペソ(150円くらい)は破格では。

 

市場に沿うように並んでいる海鮮レストランのうち

黄色い外観の【Mariscos del Mar】は

8時半頃の市場の営業時間に合わせて

9時前には開店の朝食にうってつけのお店。

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海鮮タコス店らしく様々な種類のサルサ

机の上にずらりと揃えてあって

入店時から既に眼福。嬉しい!

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ここでも頼むのは名物白身魚のフライのタコス。

それからカジキのトマト煮のタコスも絶品。

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そして最後に待ちに待った採れたて生牡蠣!

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手数料も何も取らずに開けていただき

更にはレモンまでつけてくれる

そんなご主人達の優しさの相乗効果か、

昨日のも美味しかったがもっとプリプリで

貝柱と内臓の異なる甘さと濃厚さが

海水の塩味に引き立てられて

一瞬で舌を支配する美味しさ。

口内が野性的な海で一杯になる。

この地域の牡蠣は小さいそうだけれど

なんの遜色もない濃縮された貝の旨味。

一人で食べなと言っていた彼氏も

いそいそと頬張る私を見ていて一口ちょうだいと。

なんだちゃんと牡蠣気に入ってたのね。

美味しそうに食べてくれて私も嬉しい。

早朝の生牡蠣なんて禁断の贅沢。

 

朝から海の幸をぺろりと味わい尽くしたら、

美食の片棒を担ぐお酒の方も欲しくなってくる。

食中毒にならないように胃のアルコール消毒だ

なんてオヤジ臭い言い訳を盾に

我々はメキシコ随一のワインの里

Valle de Guadalupeへと向かうのであった。