間欠泉を後にまた1時間ほどバスに揺られれば
17時頃にようやくエンセナダの町に帰着。
市内観光もしようと思っていたのだけれど
すでに日も暮れかかっていたので
まずは宿にチェックインをし夕食探し。
観光のメインでもある海から大通りを一本隔てた
中央通りのCalle Primera、一番通りへ。
おみやげ屋さんや食事処が一通り集結していても
ギラギラした装飾や道まで漏れ流れる音楽もなく
小さな町らしくひっそりと落ち着いて素敵。
同じくワインの産地だからか穏やかな雰囲気が
テキサス州ダラスの北西にあり白ワインが美味しい
ワインの村グレープバイン市に訪れた時に感じた
目抜通りの柔らかな活気に似ている。
それにしても18時頃に訪れたにも関わらず
見渡す限りちっとも人がいない。
そもそも半分くらいのお店は閉まっているし
空いているカフェやレストランもどこもガラガラ。
【El Guerrerenseエルゲレレンセ】
という世界で一番美味しい屋台料理だと名高い
海鮮タコスの屋台に寄ってみたかったのだけれど
ここも17時までの営業だったので叶わず。
タクシーの運転手さんに聞いてみたら
どうやら商売っ気の少ないこの町では
飲み屋さんは別として日暮れ頃には店仕舞い、
食事処でも20時21時閉店が珍しくないみたい。
大都市の24時間営業に慣れてしまうと
人間の生活時間帯をうっかり忘れてしまう。
というわけで通りを一通り歩きまわり
多くはない開店中の候補の中から迷った挙句
クラムチャウダーに惹かれイタリアンへ。
【Gondolieri】というテラスのあるお店。
https://goo.gl/maps/dsPMgus2aagrguHc8
ここまでの経験上、バハカリフォルでは半島は
全般的に貝類が美味しいとの結論を得ていた私。
ここまでも生牡蠣に焼き大アサリを堪能したので
折角なら煮込んだアサリを食べておきたいと
トマトベースのペスカトーレに
クラムチャウダーを注文。
全体的にちょこっと塩辛くてちょこっと脂っこい。
けれどゴロゴロと大きなエビは肉厚でじわりと甘く、
入れすぎなほどアサリのつまったチャウダーは
貝の旨味がぎっしり。こんなに贅沢なのは初めて。
ワインはイタリア産で地のものではかったのが
唯一残念ではあったけれど、全体的には満足。
サッカーの決勝戦が行われていた夜だったので
時々店内まで隣の店の歓声が届いていたけれど
車通りもなくとても穏やかに食事ができました。
普段騒音と人ごみにもまれて生きている分
こういう一時がとても嬉しい。
ここから店の並びを北に進んでいくにつれて
飲み屋や風俗店が目に入るいわゆる歓楽街に突入。
聞こえる音楽や目に入る人の纏う空気が変わり
怖さはないけれどちょっと怪しい雰囲気も。
カクテルのマルガリータを発明した店が
この辺りにあるとか、本当は他のホテルだとか
諸説聞いてはいたけれど
そちらには特に興味を惹かれなかったので
踵を返し腹ごなしには港の周りを散策してみる。
真っ黒な海に少し淀んだ磯の香り。
海の反対側にいるのに伊豆と同じ匂いがする。
彼氏は生まれて初めて見る港だったそうで
巨大コンテナ船を双眼鏡で見て大よろこび。
ここにもエンセナダサインと巨大な国旗が。
観光地のお決まりね。
船をもっとよく見たいとのことだったので
一夜明けて翌日は早朝からまた海沿いを散歩。
暗い時間には気づかなかったオブジェや
折れて沈没したままの桟橋、
港にはお決まりの聖人像を発見。
8時頃だったので海での仕事を終え陸に戻った
漁師さんがもう一仕事を片付けている
その話し声やモーター音が素敵。
やっぱりここでも貝がたくさん上がってる。
観光客の入れる一番突き当たりまで進むと
突如堂々とMercado Negroメルカドネグロ
つまり闇市と書かれた怪しい建物を発見。
その開けっぴろげな感じにえ、と思いながらも
ドキドキしながらこっそりと覗いてみれば
この通路の見慣れた濡れ具合といえば・・・
なんだ、魚市場じゃないの。
短い軒の下に10店舗ほどがみっしりと並び
いかにも新鮮な海産物を今まさに陳列中。
大小さまざまな見覚えのない魚たちは
どれも皮の下の綺麗な身が想像できて
よだれが出るほどの美しさ。
調理してみたくてたまらない。
悔しいことに丸2日旅行が残っているので
お土産は保存のきくマグロの燻製1kgのみ購入。
写真上部の真っ赤な塊がそれ。
マリネ液と豊潤な薫製の香りにも負けない
マグロの赤身独特の酸味が残っていて美味。
たしか70ペソ(420円)くらい。
しかし市場で生物を味わえないのももどかしいな
と思っていたらいつの間にか鎮座している牡蠣様。
今食べるから開けてと頼むも刃物がないらしく、
かといって宿泊中のホテルにもないし
そもそも自分で開けられる自信がない。
しかしなんの執念かいつもの人見知りを打ち捨て
向かいの食堂のおじちゃんにお願いをすれば
開けてあげるよと気前のいい二つ返事で快諾。
晴れて陸に上がりたての牡蠣を購入。
3つで25ペソ(150円くらい)は破格では。
市場に沿うように並んでいる海鮮レストランのうち
黄色い外観の【Mariscos del Mar】は
8時半頃の市場の営業時間に合わせて
9時前には開店の朝食にうってつけのお店。
https://goo.gl/maps/The2gPaov4kmr8aDA
海鮮タコス店らしく様々な種類のサルサが
机の上にずらりと揃えてあって
入店時から既に眼福。嬉しい!
ここでも頼むのは名物白身魚のフライのタコス。
それからカジキのトマト煮のタコスも絶品。
そして最後に待ちに待った採れたて生牡蠣!
手数料も何も取らずに開けていただき
更にはレモンまでつけてくれる
そんなご主人達の優しさの相乗効果か、
昨日のも美味しかったがもっとプリプリで
貝柱と内臓の異なる甘さと濃厚さが
海水の塩味に引き立てられて
一瞬で舌を支配する美味しさ。
口内が野性的な海で一杯になる。
この地域の牡蠣は小さいそうだけれど
なんの遜色もない濃縮された貝の旨味。
一人で食べなと言っていた彼氏も
いそいそと頬張る私を見ていて一口ちょうだいと。
なんだちゃんと牡蠣気に入ってたのね。
美味しそうに食べてくれて私も嬉しい。
早朝の生牡蠣なんて禁断の贅沢。
朝から海の幸をぺろりと味わい尽くしたら、
美食の片棒を担ぐお酒の方も欲しくなってくる。
食中毒にならないように胃のアルコール消毒だ
なんてオヤジ臭い言い訳を盾に
我々はメキシコ随一のワインの里
Valle de Guadalupeへと向かうのであった。