息つく暇もない2週間だった。
入社以来一大きい仕事を含めて
大きな案件が立て続き繁忙期をも凌ぐ忙しさ。
出張先で珍しい仕事の手配も遠隔操作。
惰性で部署の仕事をほとんど回しているけれど
やっと3年目の経験とキャパシティでは
やっぱりイレギュラーが続くと疲弊気味。
加えて仕事前に左ひざを脱臼。
約15年ぶり二度目。朝から激痛。
病院にも行けず、先々週は足を引きずり労働。
早出に遠出、山盛りの残業に加えて負傷と
満身創痍で更に土曜日までお仕事。
普段より1時間早く出勤して現場でばたばた、
飲まず食わず休まずで気付いたら20時。
帰宅してぱぐまるの世話をして、夕飯を食べて
一息つこうとソファに座った途端に寝たみたい。
添い寝するパグのいびきで夜中に目が覚めた。
忙しすぎて心折れる暇もなく始まり終わってた。
なので日曜はとことん体を休める日にしよう
と思っていたのだけれど、
それより精神的な疲労が更に大きかったので
外国で鬱なんて夏目漱石の二の舞はごめんだと
心の回復を優先させることに。
(それを扱った講演『私の個人主義』は好き。)
となると俄然都会を離れて緑に触れたくなり、
同僚の発案で一路向かうは南のAllende市。
流れる山並みだけを追いながら
有名処の湖も滝もSantiago市にも脇目を振らず
国道を1時間ほどずっと南下した先にあるのが公害も届かない小さな町Allende。
ここはここで歴史があるのだけれど、
今回はそこから山に分け入った先が目的地。
町から3分も走ると目的地の入り口
RIO RAMOSラモス川の看板を発見。
地元の人々が泳いだりバーベキューをしたり、
夏のレヒオ達のお気に入りの避暑地のひとつ。
ただし町に近い川下は水質が良くないので
ここから更に20分ほど上流へ。
車で上がれる舗装路のほぼ最終地点、
ここがお目当。その名もマムシ池。
スペイン語ではCHARCO DE LAS VIVORAS。
青緑色の不思議な水面。
開けた場所じゃないというのもあってか
16時頃の到着で川辺は大入り満員。
予想外にかなり客層が悪い様でのっけから
ヤンキーやマフィア然とした御一行様の
喧嘩に煽り、大音量バーベキューに遭遇。
静謐な風景と治安の悪さのギャップに
若干腰が引けはしたものの、
ここまで来て遊んで帰らぬわけにも行かぬ。
荷物を置く場所がないので最初は川縁を探検。
人集りから10mも離れれば虫と鳥の声ばかり。
石伝いに川を渡ったり茂みに踏み込むと
都会にはないはっきり澄み渡った青空と
迫り来るようなゴツゴツの岩山の緑だけが
ここにある世界の全てのよう。結構楽しい。
他に目に入ってくるものといえば
ド派手な巨大バッタに真っ青な小型のトンボ、
紋黄蝶に葉っぱにしか見えない蝶々などなど。
カラフルさがとっても気持ち悪いのだけれど
同時にどこか惹かれてしまう魅力がある。
遠くからなので分かりにくいけれど
バッタは黄色に黒か赤と青で
びっくりするくらい毒々しかった。
17時も過ぎ人が減り始めてからは
清潔さでかなり迷いはしたものの、
結局同僚に手を引かれ川に入ってみる。
川幅10m程度の深さも場所によっては2m程度と
結構ちゃんと泳げる大きさ。
ただし流れは緩やかなので危険な感じはなし。
太陽のお陰で水温は若干冷たい位の心地よさ。
水底が見えない故に最初は恐る恐るでも、
めだかのような魚の群れの泳ぐのを見つけたり
苔むした岩に腰掛けて日向ぼっこをしながら
子供たちが水に飛び込んで遊ぶのを眺めて、
それから蝉の声を聞きながらぷかぷか浮いて
意外と幻想的で耽美な風景だったり
ただただ大きな山とか空をぼっと見つつ
バカみたいな話をして笑っているうちに、
不思議とストレスなんてするする流れていく。
とてもとても気楽な時間。
結局18時過ぎまで水の中で遊んで、
それから半時間ほどは服を乾かす口実で
同僚と水切りで競って遊んだり。
いかに平ぺったくて丸い石を見つけるかで
こんなにキャーキャーしたのはいつ振りだろうか。
初めて石が水面に二度跳ねて大はしゃぎ。
25歳にもなって、僕の夏休みを地でいく
なんてすがすがしさ。
腹ペコな帰り道にはモンテレイの入り口で
海鮮チェーン店Don Arturoに寄って晩御飯。
牡蠣のロックフェラー風は
たっぷりチーズでこっくりクリーミー。
でも牡蠣の風味が負けてしまうので
あまり好みではないかな。
ニンニクソースをを塗り焼いたもの。
ここの味はピンとこなかったけれど
調理法自体はとても美味しそうだったので
今度是非真似をしたい。
1日の終わりには熱いシャワーを浴びて
疲れたはずなのに軽やかさだけが体に残って、
本当にスッキリリセットって感じ。
翌日足中謎の虫刺されと
指に謂れのしれない水ぶくれができたけど、
特に健康被害はなかった模様。
また自然に生かされたと感じられる
そんなメキシコ生活。
バナナシェイクを盗み飲みして
白ひげのついたぱぐも私の元気の源。