メキシコ モンテレイで食べて遊んで働いて

メキシコって良くも悪くもこういうところ。メキシコを好きになれる観光、レシピ、文化情報を発信。

day 772: 真剣に生きることと恐怖のHIV検診。

昨日はひさしぶりにひま〜な日だったので

本店から上司が来ていたにも関わらず

仕事もせずに同期と将来や生き方について長話。

(同期はおそらくちゃんと仕事してた。)

 

女として社会人として、

どう生きるのが賢いのか、生きやすいのか

誰よりも頭の良い彼女と話をするのは楽しい。

そして今後30歳までの5年計画についてとか。

 

なまじ日本人の後輩がいないので

日常生活で自分の年齢に直面する機会が少ない。

年上も年下もみんな同じように

TU/USTED(あなた)の世界では、

敬語を使われることで自分の社会的な年齢感を

空気で感じるようなことができない。

そうなるといつまでも若い気がしてしまうけれど

題名の通り私は25歳。

半年も経たずに26歳。

30歳まであと4年。

私は自分で思っているより年をとった。

 

今までの人生は住む場所も、やることも、

出会う人も、何もかも行き当たりばったりで

100%興味と運だけに後を押されて飛び込んで

得たいものも分からないまま

楽しむために生きていた。

一年後の自分の姿など分かるはずもなく、

乗った波の行く先でまた違う波に乗り

自分がどうなっていくのかを楽しんでいた。

人生に制約を求めなくて良いその生き方は

とても楽しくて刺激的なものだけれど

それを続けていって30歳になった時に

私は何者かになれているのだろうか?

昔から漠然と、自分は何者かになれる

と感じて生きてきたけれど、

それは待っていたら訪れるものなのだろうか?

 

そう考えると柔軟な人生を愛してはいるけれど

ある程度先を見据えることも必要だなと。

住居とか仕事とか、貯金とか

結婚出産そういう物質的なものでなくて

私はどんな人物になるのか的な

どこでなにをしていても通じるものの

指標を作りたくなった。

 

というわけで早速、

心配性の同僚が行くと言うので

私も彼についてHIV感染の検査へ。

思い立つと同時に行動する。

健康かそうでないかで先の予定も大きく変わる。

 

訪れたのはOBISPADOにある

EXPLORA T, A.C.という元々は政府援助の下

2005年に設立されたHIV関連の非営利団体

(メキシコで団体名の後のA.C. は

Asociacion Civil = 非利益団体を表す)

建物は元々住居だったものに小さい表札のみ。

付近はひっそりとした住宅街。

人通りも少ないので人目が気にならない。

月曜〜木曜の16〜20時までの営業なので

働いていても行きやすい。

 

入って右の待合で検査にいての説明を受ける。

ここで実施できるのは

HIVの簡易検査(200ペソ)

・梅毒の検査(100ペソ)

後何かもう1つ性病検査があったけれど

病名が難しすぎて忘れてしまった。

それも100ペソ。

 

私たちは性病の症状は特にないので

今回はHIV検査のみに挑戦。

たとえカップルであっても個人情報の保護のため

必ず1人づつ二階の部屋に通される。

というわけで緊張しすぎて冷や汗をかいている

同僚を先に済ませるためはじめは私が待機。

なにもない部屋で20分ほど。

かなり気楽にきたはずなのに、

いざ結果に直面するとなると不意に緊張が訪れる。

今まで一度もHIVにかかったかもしれない

なんて思ったこともないのに

突然色々な可能性が脳裏をよぎる。

そういえば今まで付き合ってきた人たちと

一度も罹患者かどうかなんて話はしたことはない。

症状もエイズの発症まではほとんどないようだし

隠されていたって分からないんじゃないの?と。

突然疑心暗鬼になる。

遠距離恋愛だった1つ前の彼氏なんて、

会えない間は取っ替え引っ替え遊んでいたし

関係ないと思っていた自分が

意外とリスクにさらされていることに気付く。

そうなるともうダメね。

私が感染者で同僚にうつしていたら

どう償えばいいのだろうだとか、

待っている間中症状やら経過やら

ありとあらゆる否定材料を必死に探すが

結局自信を持てないまま自分の番に。

同僚が笑顔で陰性報告なだけに顔がこわばる。

 

検査をしてくれるのは心理学者の先生。

データを取るために記録は残すけれど

イニシャルと生年月日だけを伝えればOK。

はじめに機関の説明やHIVの説明、

HIVと判明した場合の説明を最初にしてくれる。

宣告されてからじゃそんなの耳に届かないものね。

ここメキシコでは安定した状態になるまでの

検査や通院には必ずカウンセラーがついて

ケアをしながら支えてくれるんだとか。

検査キットは通常はHIV簡易検査第三世代の

抗体に反応するものを使用。

これは実際に感染をした瞬間から

結果に出るまでに3ヶ月かかる。

暴行を受けた場合やその3ヶ月を待つことが

あまりにも精神衛生上悪い場合には

第4世代の3週間で検査できるものも。

これは血液中のウイルスで検査するため

従来に比べて検知がとても早いのだとか。

 

いざ検査。

ピアスの穴あけ用の器具のようなもので

痛みも感じないまま指先に穴を開け

スポイトでごく少量の血液を採血。

検査キットはもちろん新品をその場で開封

その血液を判定用のリトマス紙様のものに乗せ

待つこと1.2分。 

その間にも陽性の場合の心構えを話してくれる。

 

ふと四角い小さな窓に一本線が現れる。

これはどう意味なのかと固唾を呑む中

おめでとう、反応なしだよと告げられ

なんだか一気にホッとする。 

陽性の場合には二本線が確認できるそう。

とにかく、よかった。

 

そのあとは検査結果を書いてもらって

お支払いをしてあっという間におしまい。

15分もかからない作業でした。

正直言って地獄の様な時を過ごしたけれど

1つ健康の証を持っているのが清々しい。

 

緊張しすぎて写真を撮り忘れたのだけ残念。

けれど人生を見直すためのまあ悪くない第一歩。