まずは昨日の旅から。
会社のあるアポダカ市から20分も車を走らせると
早速道の雰囲気ががらりと変わる。
だだっ広く、砂利じきで、民家の数がぱったりと減る。
そこから先は目的の町モンクローバ(フロンテラ)まで
国道53号線の下道を一本道。
いつかテレビで見たことのあるような
想像していた通りのアメリカ大陸の道。
広く、長く、雄大な景色に囲まれた乾燥した大地。
走っているのは長距離輸送トラックばかり。
特にアメリカとの国境に近いこの地域では
日中競うように大型トラックが走り回る。
私の会社でもそうだが、
トラック強盗に襲われる夜半に貨物を運送することは
決して勧められていない。
町を出てから、心なしかくっきると姿の見えるようになった山々。
モンテレイの街中からでは
こんなに青々とした山肌を見ることはできなかった。
思っているよりも深刻に空気汚染に悩まされているよう。
枯れた土地が続く。
ついに野生のサボテンも目にすることができたが、
あまりの走行スピードにシャッターが間に合わず。
何もない、何もない、何もない。
ちなみに写真に写っているヒビは、
フロントガラスの亀裂である。
雹、前の車が撥ね飛ばした小石、謎の落下物、
会社の車で現在無事なものはないのではないだろうか。
メキシコではそんなこと誰も気にしないのだから。
前が見えるうちは、きっと大丈夫。
さて、日本と違い平野の広大に続くこの大陸では、
耕作地も居住地も豊富にあるためか、
町と町の間には本当に何もない土地が続いている。
山がちで人の住める場所の限られている日本では
人の手が入っていないのは山、
それ以外には民家が比較的見られるような気がする。
そして門のごとくそびえる二つの山脈を通り抜けると
モンクローバの町が広がる。
メキシコ第3の都市モンテレイから北西へ200キロ。
モンテレイの衛星都市といってもよいのだろう。
現在、生産業の分野で町の発展が進みつつある
北メキシコの中規模都市のひとつである。
何もないといわれ想像していたものとは程遠い、
しっかりと発展し整備されつつある町、といった印象。
コンビにチェーンOxxoも、大型スーパーSorianaも
新しく、きれいな建物が道沿いに列を成している。
さすがに高層ビルこそないけれど、
ここにはおそらくもう、必要なものはすべてあるのだろう。
さて、町に入ったところでトラブル発生。
車の後輪がパンク。
すぐに道沿いの修理店へと車を寄せ相談。
VULKAと書いてあるのが車修理店。
どうやらタイヤの制限速度を
しばらく超過して走ってきていたようだ。
80キロまで。
メキシコ人がそんな速度で運転できるわけがないのに。
そして修理中にヨコハマタイヤの看板を発見。
こんなところにあるとは。
やはりモンクローバ、聞いていたよりもずっと大きな町ではないか。
地元のケサディージャを食べて帰る。
えび、トマト、コリアンダー、たまねぎ入り。そしてチーズ。
ケサディージャは通常のタコスよりも
一回りか二回り大きい。食べ応え抜群。
蟻と蝿とともに食事ができるのならば、
この国はいい国なのだ。
足元に寄ってくる野良犬たちは、
街中より多いように感じた。
結局パンクと交通渋滞で往復8時間の旅となった。
帰り道、たっぷり4時間首を傾けて眠ったおかげで
今朝もまだ首の調子が悪い。
モンテレイに向かう道のりはやはり霞んでいた。
そういえば、茗荷の成長が著しい。
これは本当に茗荷なのか。
竹ではないかと疑心暗鬼になる今日この頃。